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エスキモーの個人情報(1) 


「また訳の分からないことを。」と思われそうです。「エスキモー」というのは、ジョン・スポールストラの「エスキモーに氷を売る」という本のエスキモーです。読まれた方も多いでしょうが、一応簡単に説明しておきます。

ニュージャージー・ネッツという、アメリカで長い間最下位だったバスケットボール・チームの話しです。弱いチームでスター選手もいません。だから当然興行成績も最悪です。そのチームを、経営コンサルタントの著者が再建し、チケット販売などの興行成績をトップクラスにもっていく活躍を書いた本です。

通常、「エスキモーに氷を売る」なんていいますと、必要のないものを騙して売りつける、悪徳セールスマンを思わせます。しかし、この人のやり方は、お客さんに喜んでもらいながら販売していくわけでして、読んでいて目から鱗が落ちます。エスキモー、つまりお客様は、本当に満足して、氷、つまり弱小チームのチケットを買ってくれるわけです。

常識的には、チームの興行成績を上げるには、スター選手を入れるなどチームを強化して、人気を出すことを考えますよね。ところが、著者は、このチームを、弱いチームのままで、売り込んでいくわけです。

たとえば、自分のチームにはスター選手がいなくても、対戦相手のチームには、マジック・ジョンソンやマイケル・ジョーダンがいるわけですね。自分のチームで売り込むのではなく、対戦相手のスター選手を利用して、チケットを売り込むわけです。

それでは、対戦相手も人気のないチームだったらどうするか。まさに、全く人気のない商品をどう販売するかということです。こういう場合には、まずは価格を下げることを考えますが、人気のないゲームでは、ただでも要らないという人が多数派です。

そこで、他の商品と組み合わせることで、価値をあげて販売することを考えます。例えば、人気のあるハンバーガーショップの食事券と組み合わせて、そのうえおまけをつけて、パックにして売るわけです。

家族分のチケット4枚、食事券4人分、バスケットボール1個、ネッツの帽子1個を39ドル95セント(この価格も微妙ですね)で、完売したそうです。チケット以外のおまけの価格は13ドルくらいなので、結局、どうにも売れなかったチケットを、4枚27ドルで販売できたわけです。

著者のスポールストラは、この販売方法に対して、見当はずれの批判をする人が沢山いたことを書いていました。「条件が良すぎる。これはマーケティングではない。ただ、買わずにいられないほどよい商品を提供しているだけだ。」なんて批判する人がいたそうです。
大きい声じゃ言えないので、小声で言いますが、日本でもこんなピントの外れたことを言うのは、だいたい弁護士だの税理士だのという、先生商売の人ですね。

このように、多くの手段を用いて、三流チームのチケットを販売した方法を、著者はジャンプ・スタート・マーケティングと名づけました。その一番キモになるのが、以前そのチームのチケットを買ってくれた人達の顧客名簿を準備して、そこにダイレクトメールを出して、チケットを販売する方法です。

顧客名簿には、当然個人情報の問題が絡んできます。というわけでして、なんとか「エスキモー」と「個人情報」が繋がったところで、次回に続きます。


弁護士より一言


私は落語が好きで、以前はよく聞きに行きました。
一番好きだったのは、桂枝雀ですね。この人のは、本当に可笑しかった。ビデオも持っていますが、やはり生で聞くのが最高でした。私がアメリカ留学しているころにあんなことになって、それを帰ってきてから知って、本当に残念な思いをしました。

最近は、妻の叔母が横浜でやっている「三吉演芸場」という、知る人ぞ知る、知らない人は知らないという芝居小屋があるんですが、そこでやる桂歌丸一門会に行くくらいです。歌丸師匠の、円朝や宇野信夫など、初めて聞きましたが、中々面白いですね。
励みになりますので、引き続きコメントやご質問などお待ちしております。

(2009年7月16日 第9号)

 

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