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ウォルマートの安売弁護士(3) 

ウォルマートで感動するのは、「絶対に安くするんだ!」という気合ですね。「ウォルマートに呑みこまれる世界」には、こんな話が載っています。
 
汗を抑えるデオドラントってありますよね。ウォルマートでも以前は、製品を箱に入れて売っていたのですが、その箱が無駄だということで、止めたんだそうです。それによって、1箱5セント(5円)安くなったわけです。(もっとも、ウォルマート全体では、10億円の節約につながるそうです!) 
 
一方、日本ではといいますと、ある人から教えてもらいました。その人が虎屋の羊羹をもらったら、7重包装になっていたそうです。「ビニール包装でいいから、もっと安くしろよ。」「世界でも、こんなに過剰包装なのは日本だけ。」とお怒りでした。しかしそうは言いましても、虎屋の羊羹が本当にビニール包装だったら、顧客として失望する気がするんです。たとえ同じ商品でも、味も落ちて感じるに違いないです!
 
安売りのためには、過剰包装や過剰サービスを止める必要があります。その一方、何が「過剰」で、何が必要なものかは、判断が難しいのです。
 
弁護士の仕事でも、「過剰」な仕事内容を省くことで値段を安くできるのかが問題となってきそうです。これは難しいことは確かなんですが、絶対にできないわけではないのです。
 
数年前に、破産管財人の報酬について、裁判所の主導の下、「安売り」が実現しました。簡単な破産事件の場合、裁判所への報告など非常に簡略化する代わりに、弁護士報酬を低くしたんですね。ある意味、それまでの業務内容が、不必要に煩雑だったと言えるかもしれないわけです。
 
弁護士の主要業務である裁判の場合でも、こういう「安売り」は可能かもしれません。裁判を起こすときには、まず訴状を裁判所に出すことになります。
 
私はアメリカの弁護士資格も持っていますが、アメリカ式の訴状は、とても簡単なんです。本当にざっくりと書くだけですから、直ぐに出来てしまいそうです。これに対して、日本で訴状を書くのはかなり大変です。相手が認めるかどうかわからない点について、法的構成まで工夫し、証拠もしっかりと揃えて主張するんです。結果的には、相手方があっさり認めてしまったので、時間をかけて準備する必要がなかったなんてこともよくあるわけです。ところが、相手が争ってくることを前提にしっかりした訴状を書く以上、それなりの費用は請求せざるを得ないわけです。
 
そんな訴状をお客様が求めているのかは疑問ですが、だからと言って、日本でアメリカ式にするのはやはり抵抗があります。裁判所に対して恥ずかしいですし、相手の弁護士に甘くみられそうで心配になります。
 
日本の司法は精密司法といわれていますが、もう少しざっくりとやってよいのならば、随分と弁護士業務も合理化でき、価格も安くなるように思えるのです。私が自分でやるのは躊躇しますが、いずれはこういった割り切った業務で、安売りを実現する弁護士が出てくるのではと感じています。
 
一方、顧客に対してのサービスを考えると、弁護士はもともと大したことをしていないと感じています。こちらをますます充実させる代わりに、安売りをしないで適正な料金を請求する。私としてはそういう弁護士を目指していきたいと考えています。
 

弁護士より一言

先日、人気ミュージカル、スウィーニー・トッドを見てきました。18世紀末のロンドンを舞台に、市村正親演じる理髪師が、髭剃りのときに喉を掻き切って客を殺すと、大竹しのぶのパイ屋さんが、被害者の肉でミートパイを作るという、バカバカしくも怖い話です。二人が劇の中で、どんな職業の人の肉なら、どんなミートパイになるのか、掛け合いをする場面がありました。「小説家の肉は筋が多い。」といった感じですね。弁護士の肉は、「値段は高いが、後味が悪い!」そうです。ううう。。。 安売りは出来なくても、せめて後味の良い仕事をしたいものです。
(2013年6月16日 第103号)

 

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