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弁護をするサル 

フランス・ドゥ・ヴァールの「政治をするサル」は、サル研究の古典です。40年近くも前の本ですが、今でも楽しく読めます。オランダの野外動物園にいる、チンパンジー(人間の遺伝子と98%同じだそうです)達のボス争い(「政治」ですね)を克明に記録したものなんです。野生のチンパンジーは、食べて「生活」するだけで忙しいので、「政治」をする時間がそれほどないそうです。そこで、餌が確保されている野外動物園でこそ、チンパンジーのボス争いを非常に良く観察できるのです。
 
サルのボス争いなどというと、力の強い方が勝つのかなと考えてしまいますよね。ケンシローとラオーの一騎打って感じです。(なんのこっちゃ!) 
 
ところが、チンパンジーのボス争いはそんなに単純なものではないのです。それぞれのチンパンジーがどれだけ肉体的に強いかということは、ボスになる要素のうちのごく一部に過ぎません。
 
まず大切なのは、被支配者であるメスザルたちの支持を得るということなんです。これが出来ないと、とてもじゃないけどボスにはなれません。逆に言いますと、ボスを追い落とすために、メスザルたちの支持を失わせるという手段がとられます。「今のボスでは、被支配者層を守ることが出来ないぞ!」というアピールをしていくわけです。
 
次に大切なのは、他のチンパンジーとの協力です。ナンバー2と、ナンバー3のサルが連合を組んで、ナンバー1のサルを追い落とすなんてことが行われるんです。まさに、権謀術数のうごめく世界です。
 
ところで、似たような話しが、弁護士の世界にもあります。弁護士も、ボス争いが大好きなんです! 日弁連や各弁護士会では、会長達を選挙で選ぶんです。この選挙は、公職選挙法みたいな選挙についての規定などないので、やりたい放題です。選挙になると、先輩弁護士や修習同期だった弁護士(顔も覚えてない人達です)から、何本も電話がかって来るんです。自分の推す人に投票してほしいとお願いしてきます。まさに、被支配者である一般弁護士の支持を取り付けようと言いうわけです。さらには、これまでの執行部のやり方では、弁護士の生活は苦しくなるばかりだなどというキャンペーンを張って、今のままでは「被支配者層」の一般弁護士を守れないぞとアピールをしてきたりします。
 
弁護士会には、いくつも派閥があるんですね。派閥間で選挙を戦うわけですが、他の派閥と争うと共に、連合を組んで、他の候補をたたいたりもします。この辺も、チンパンジーの連合関係と似ています!
 
さらに言うと、弁護士が今まで「政治」が大好きだったこと自体、チンパンジー社会と共通点がありそうです。これまでの弁護士は殿様商売ができており、何もしなくてもエサ(仕事)が取れていました。だからこそ、「生活」の心配をしないで、あれほど「政治」に夢中になれたのです。今後、弁護士の数が増えて、生活も苦しくなってくると、「政治」どころではなくなるかもしれません!
 
しかし考えてみますと、政治をするサルはいますが、裁判をするサルや、弁護をするサルは聞いたことがありません。ヴァール先生も今西錦司先生も、サルの裁判について報告していません。「政治」はサルにもできますが、「弁護」はサルにはできないんですね。
 
弁護士も「政治」はほどほどにして、「弁護」に取り組んだ方が良いのではと思ったのでした!
 

弁護士より一言

 
「パパって、ペットを飼ったことあるの?」と、小学2年生の息子に聞かれました。お友達は、みんなペットを飼っているということです。
 
そこで、「パパは、とっても可愛い小猿を飼っているんだよ」と答えたんです。
 
すると息子は、「僕も、『びっくりぼし』のゴリラを飼ってるよ!」と言い返してきました。実は私、つい先日ぎっくり腰になって、寝込んでました。負けず嫌いで、口が達者なところは親譲りのようです。
(2013年8月1日 第106号) 

 

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