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弁護士は感情で動く(2) 

行動法律学の続きです。現実に居る、不合理な人間を前提に法律も考える方が良いのではということです。
 
たとえば、こんなくだらないことを考えてしまいます。行動経済学によりますと、人間というのは、何かを得た場合の喜びよりも、失うことによる苦しみの方が、格段に重いんだそうです。つまり、100万円貰ったときの喜びより、100万円損したときのショックの方がはるかに大きい。
 
たとえば、スーパーのレジ袋の有料化が問題になっていますよね。レジ袋を辞退すれば代金から1枚当たり2円返金するということにした場合、ほとんどのお客さんは、興味を示さないんだそうです。別段2円程度返して貰っても、大して嬉しくないんですね。それに対して、レジ袋が欲しい人は、2円出して購入しないといけないという形にすると、多くの人はレジ袋を欲しがらなくなるそうです。まさに、2円を取られることに対しては、非常に強い痛みを感じるということです。人の事は言えません。私自身、スーパーでレジ袋の為にお金を支払うのかと思うと、かなりの抵抗を感じてしまいます。
 
この辺をうまく使えば、弁護士実務において、示談とか和解がやり易くなるはずだと思うんです。示談金で100万円貰えるという場合でも、相手方はそれほど感動しないことがあります。そこで、何とか初めにお金を受け取って貰い、いやなら後から返還してもらうみたいな形に出来ないかということですね。犯人を重く処罰して欲しい人は、3か月後に返還できますだなんて制度があればいいですね! 一度自分のものになったお金を返還するのはとても辛いので、犯罪の示談交渉なんか、とてもやり易くなるはずです!
 
行動経済学の考えは、弁護士事務所の経営にも役に立ちそうです。例えば、価格表示の仕方にもコツがあります。50%引きと表示するよりも、「1つ買えば、もう1つ無料!」とすると、売れ行きが良くなるそうです。そうしますと弁護士も、「離婚裁判の費用半額!」なんてやるよりも、「1回離婚裁判をすれば、2回目は無料!」の方が、お客様を引き付けることになりそうです。(あ、アホか!!)
セブン・イレブン創業者の鈴木敏文会長によると、商売は経済学ではなく心理学なんだそうです。かつて3%の消費税が日本で開始されたときは、消費税分のディスカウントというのを打ち出しました。つまるところこれは、約3%の値引きのことですよね。3%程度でしたら、値引きとしての迫力はないはずなんですが、消費税がいらないという形にすると、大反響があったわけです。そんなもんで良いのなら、今度消費税が8%に値上げになったときには、うちの事務所では、5%から増えた3%分の消費税はディスカウント!なんてやりたくなっちゃいます。
 
衣料品で10%程度の値引きでは、お客さんも反応しないのが普通です。ところが鈴木敏文は、タンスの中の古い服を持って来れば、10%の価格で下取りしますということを始めて、大ヒットしたそうです。
 
10%値引きされた服を買って、古い服は自分で捨てた方が簡単で、合理的だろう!なんて考えちゃいけないんです。古い服があるのに、新しい服を買う罪悪感を減少させると共に、タンスの中に新しい服の置き場所まで作ってあげたといことですね。お見事!!
「不合理な人間を騙して商売をしている」と考えるのではなく、「お客様の気持ちにそって、購入を助けてあげている」のだと考えて、弁護士としてもこういう工夫を考えていきたいなと思うのです。
 

弁護士より一言

小学校2年生の息子が、お友達からお誕生日のお祝いカードを貰ってきました。クラスみんなでお祝いしてくれるんですね。そこには私の知らない息子がいるんです!「字がうまいね。」「ハーモニカがうまいね。」 そ、そうなんですか?
 
「給食、食べるの早くていいね。」「牛乳飲むの早くてすごいね。」これって、誉められているのか微妙ですが、ちょっとした「良いところ」を皆で見つけてくれます。
 
私も素直に見習いたいなと思ったのでした!
               (2013年10月16日 第111号)

 

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