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八百長の弁護 ヒットラーの弁護 

前回のニュースレターで、相撲の八百長について書いたところ、皆さんからいろいろなコメントを頂きました。それらを読んでいて、中国史の大学者、宮崎市定先生のエッセーを思い出しました。10年ほど前に94歳で亡くなった、大先生です。
 
宮崎先生に、「恰好いいということ」というエッセーがあります。「譲る」という行為は、最高に恰好いいそうです。電車で年寄りに席を譲るときは、特に何も言わないでさっと立ち上がるのが、「格好いい」そうです。譲られた方も、素直に礼を言って、気持ちよく譲ってもらうのが「恰好いい」というんですね。これには反論しようがないのですが、この「恰好いい」「譲る」精神は、相撲の勝ち負けにも適用されるというんです!
 
「大相撲の千秋楽に、それまで七勝をあげた力士に対しては、相手が勝を譲って八勝の線に乗せてやるのが慣例になっている。これは武士の情けともいうべきものであるから、八百長とは言わない。」
「同じように、十四勝もの好成績で、既に優勝が決定している力士には、当日の相手が勝を譲って全勝優勝の花をもたせるのが仕来りである。」 
 
ほ、本当ですか!! そうしますと、相撲の場合、みんな「八百長」と知って楽しんでいたというどころか、八百長すべきだと考えられていたんでしょうか?
 
もっとも、宮崎市定先生は、大碩学と言われた人ですが、アクが強くて結構むちゃくちゃなことを書いたりするんです。先生によりますと、今の時代は米寿の八十八歳まで生きるのは当たり前で、その後の残された十年間でどれだけの業績を残せるかが問われているんだそうです! 宮崎先生自身は九十四歳で亡くなっていますが、なんかもう、一般人とは違う世界で生きているような感じです。
 
こういう宮崎先生ですから、世間との衝突なんか恐れないんです。文化大革命の時代に、左翼マスコミにリードされた世論が、毛沢東バンザイと持ち上げていましたよね。そんな時代に一貫して中国を批判して、「中国嫌いの中国学者」として名を馳せた、気骨のある大先生です!
 
宮崎先生は中国嫌いの一方、ヨーロッパには好意的なようです。留学中にミュンヘンの酒場にいると、偶然そこにヒットラーがやって来たなんてすごい話も、エッセーに書かれています。1937年のことですね。食事が終わって、ヒットラーが帰るときに、みんなして見送るわけです。宮崎先生たちも、人垣の最前列まで出て行きます。(ミーハーな気もしますが。。。)
 
ヒットラーはとても愛想よく、「日本から来たか。」なんて話してくれた上、一人一人と握手もしてくれたそうです。「それは予想に反して、柔らかで温かい掌であった。」と宮崎先生は書かれています。こういうのを読むと、北朝鮮の将軍様などとは違って、ヒットラーは本当に民衆に支持されていたんだろうなと思えてきますね。
 
宮崎先生は、エッセーの最後で、こんな風に総括しています。「敗戦後ヒットラーの評判は極度に悪い。しかし弁護人抜きの欠席裁判では、そこに誇張や雷同が生ずるのを免れぬではないか。」「日本の場合も、戦時中に軍隊が東南アジアで、悪いことばかりしたように語られるが、私が歴史を著すならば、けっしてそのようには書かぬ。」「善をも悪をも必ず書く、と言うのが『春秋』の筆法だからである。」
 
弁護士の仕事にも共通する問題認識です。私も宮崎先生の爪の垢を煎じて飲むようにします!
 

弁護士より一言

妻が家にいないとき、中学1年の娘と一緒に台所で家事をしていたんです。すると娘が、「パパ食器洗い機セットしといてね。」なんて言ってきます。そんな難しいこと、私にできるわけないでしょう! 「出来ない。」というと、娘に言われました。 「離婚になったとき、そのくらいできないとダメでしょう!」 う、うちって、そ、そんなピンチだったんですか! 
 
引き続きコメントを楽しみにしております。
 (2013年11月16日 第113号)

 

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