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職業としての弁護士 

マックス・ウェバー大先生の「職業としての学問」「職業としての政治」ですね。いま読み返しても、とても面白い本です。刺激的な記述が沢山あります。
 
ウェバーによりますと、専門バカにならない人は、学者として役に立たないそうです。「自分の魂が救われるかどうかは、この本のこの箇所の解釈が正しいかどうかにかかっていると思い込めない人は、学問とは縁遠い人」なんだそうです。ほ、ホントですか!
 
しかし、私だって自分の事件を依頼するなら、どうでもよい本を沢山読んでいる弁護士(だ、誰のこと。。。)よりも、この道一筋に命を懸けていますなんて弁護士に依頼したい気になるのです。
 
そんな専門バカの学者でも、「学問」で食べていくには、大学教授など、一定の研究職につく必要がありますよね。ウェバーによると、そういう職に就けるかは、必ずしも本人の実力よりも、運や偶然などで決まることが多いそうです。さらにその後の学者としての評価も、必ずしも研究の優秀さで決まるわけではないというんですね。きっとそういうことがあるんでしょう。
 
「職業としての弁護士」の場合も、全く同じことが言えそうです。司法試験を受かって弁護士となれるかどうは、相当部分、運や偶然で決まっているような気がします。その後の弁護士としての評価も、必ずしも実力だけで決まるわけではありませんね。
 
そういえば、「職業としての政治」には、弁護士についての記述もあります。職業政治家になるには、どういう人が向いているのかという話題です。
 
ウェバーによると、政治家の大切な資質の一つは、公開の場で民衆を説得する能力だそうです。弁護士は、公開の法廷で、自分に不利な事件でも有利に、自分に有利な事件はより有利にもっていきます。これは、民衆を扇動する政治家にとって、非常に大切な能力だということです。なんか、誉められているのか貶されているのか微妙なところですね。もっとも、日本の弁護士には、残念ながらこんな能力はなさそうです!
 
「職業としての学問」に、学者に対する生徒の態度についての話しがあります。「八百屋さんが僕の母親にキャベツを売るように、この教師は僕に知識と方法を売っているんだ。」 ウェバーは、当然のことながら、こういう態度に批判的です。
 
しかし、これは現代の弁護士にも生じていることです。「弁護士は、八百屋さんがキャベツを売るように、法的助言を売っているんだ」と思われることには、私も釈然としないものを感じるのです。
 
「職業としての政治」で一番有名な個所は、心情倫理と責任倫理についての考察ですね。心情倫理というのは、結果がどうなろうと、自分の行為の正しさだけを考える倫理です。「結果」がどうなろうと、知ったことではないわけです。一方、責任倫理というのは、「善き目的」のためには「悪しき手段」でも引き受けることです。ウェバーは、政治家は自分の心の満足ではなく、「悪しき手段」をもってしても、結果に対して責任を負うべきだと言うわけです。これは、弁護士についても、非常に難しい問題です。
 
自己満足ではなく、依頼者に生じる結果に対して責任を負う弁護士になりたいと思います。その一方、「善き目的」の為に、「悪しき手段」を選ぶことが弁護士として許されるのか? 現代日本の弁護士にも、ウェバーは重大な問題提起をしていると思えるのです。
 

弁護士より一言

もう30年も昔になりますが、私が大学生のころは、「マックス・ウェバーを読まない者は人に非ず」みたいな風潮がありました。「そんな生意気な意見は、『プロ倫』をあと10回読んでから言えよ!」みたいな感じですね。今から考えると本当にバカバカしいんですが、そんな学生時代がとても懐かしく思えてきます。
 
本日で、51歳の誕生日を迎えました。「長らえば またこの頃や しのばれん!」 あと30年も生きていたら、今頃を懐かしく思い出すのでしょうか? 
誕生日祝いのコメントを楽しみにしております!
 
(2014年3月16日 第121号)

 

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