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木を見る弁護士 森を見る弁護士 

頸椎の神経が圧迫されているということで、右腕が痺れています。そこで、様々な治療をしてもらったのですが、その過程で面白いことに気が付きました。
 
西洋医学では、直接的に原因となっている頸椎を治療しようとします。手術で頸椎の問題部分を切り取るとか、ブロック注射で頸椎の神経を痛まないようにするといったやり方ですね。
これに対して、東洋系の治療法である整骨院などでは、これを頸椎独自の問題とはとらえないのです。身体全体の歪みや、痛みを覚える右腕も含めての問題としてとらえます。身体全体を見るわけですね。
 
「木を見る西洋人 森を見る東洋人」という面白い本があります。西洋人と東洋人とでは、ものの見方が違うというんです。西洋人は分析的、直線的、単純に物をとらえるのに対して、東洋人は包括的、循環的、複雑にものをとらえるということです。つまり、西洋人は「木」を見るが、東洋人は「森」全体をみるということです。本を読んだときは、「どこまで本当かな?」と、少し怪しく感じましたが、今回、頸椎の治療を通して、そういうこともあるのかもと感じました。
 
考えてみますと、「責任」の考え方も、西洋と日本では違うように思えます。例えば戦争責任のときなども、西洋の思想では、「犯人を捜せ!」になりそうです。問題のある「木」を探せということですね。これに対して、日本では、「一億総懺悔」になります。「森」全体の責任ということです。日本式の責任では、無責任体制になりそうな気がする一方、責任を個人に負わせる西洋のやり方も問題がありそうです。
 
この、「木」を見るか「森」を見るかの問題に関連して、経営学者のピーター・ドラッカーが面白い話を書いています。家の塀を作っている職人に、何をしているのかと聞いたときの答えです。その職人は、「世界一の塀を作っているんです!」と答えたそうです。
自分の仕事に誇りを持っている態度は、非常に良いことに思えますよね。しかし、ドラッカー先生は、これは問題だというわけです。塀というのは、あくまでも家があってのものです。家という全体の中で、どのような塀を作るべきなのかが決まってきます。それを無視して、「世界一の塀」を作られても困ってしまうということですね。この職人は、塀という「木」に夢中で、家という「森」を見ていないというわけです。
 
私も、ある経営者から似たような苦情を聞いたことがあります。その人の会社は、損害賠償を請求されたため、裁判で争っていたのですね。裁判は数年にも及んだそうです。経営者としては、利益の出たときに、不利な条件でもよいので訴訟を終わらせて、損害賠償額は損金で落としたいと思っているのに、弁護士の方が訴訟に夢中で、話を聞いてくれないという不満でした。その弁護士は、訴訟という「木」を見て、経営という「森」を見ていなかったのでしょう。
だからといって、「木」を見る弁護士が劣っているとは思えません。他のものを視界から追い出して、一心不乱に「木」を見ることで初めて見えてくるものがあります。西洋近代科学は、まさに「木」を見ることで生まれたはずです。

私だって、自分が訴訟をお願いするのなら、その訴訟だけを一心不乱に見つめて、全力で当たってくれる弁護士に依頼します!
「木」を全力で見ながら「森」も忘れない、そんな弁護士になりたいものです。
 

弁護士より一言

中学1年生の娘の運動会に行ってきました。娘は私に会うと、「ママお弁当、何を作ってくれてた?」と聞いてきました。そこで、「から揚げと卵焼きと、、、」なんて、娘と話していたんです。
後日娘は友達や先輩から、「お父さんと仲良いんだね。楽しそうに何話していたの?」と聞かれたそうです。
「から揚げの分配が一人幾つまでかを話してたなんて、恥ずかしくて言えなかったよ。」 
いつまでも子供だと思っていた娘に、恥ずかしい気持ちがあるのかと、妙に感心したのでした!
(2014年7月1日 第128号)

 

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