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弁護士の1万時間(2)

前回からの続きです。「1万時間の法則」は、いったいどこまで適用されるのかという問題ですね。
野球やテニスやゴルフのようなスポーツの分野では、素人が世界一の人に勝つなんて有り得ないことです。
抜群の運動能力を有し、他のスポーツではトップの実績を持っている人でも、ゴルフを始めて1年でタイガー・ウッズに勝つなんて、間違っても起きません。
 
その一方、例えばビジネスの分野では、「素人」が世界の王者を負かすこともあります。世界一の携帯電話会社ノキアを破ったのは、電話業界に初めて参加した、天才スティーブ・ジョブズでした。
もちろんジョ
ブズは、ITの分野では、世界一と言ってもよい人でしたが、アップルが携帯事業に乗りだすと聞いて、「携帯のような成熟した市場に、いまさら素人が乗り込んでもどうにもならない」などと論評していた「専門家」は沢山いました。しかし、ジョブズは勝ったのです。
 
考えてみますと、きっちりした「規則」「ルール」があるスポーツの世界などでは、そのルールの範囲内で「勝つ」ためには、どうしても「1万時間」の研鑽が必要になりそうです。ルールに沿って技術を磨きに磨いていけばよい一方、そのためには一定以上の時間が必要となるわけです。
それに対して、世の中にはルール自体が明確でない分野もあるわけです。ビジネスの世界なんてまさにそうで、結果的にお客様の支持を集めることが大切です。
バスケット・ボールで世界一のマイケル・ジョーダンが野球の世界に行っても活躍できませんでした。ところが、IT業界でトップのジョブズは、畑違いである携帯電話の分野を制覇することができたのです。

ということで、弁護士の仕事についてです。弁護士は、ルールのある仕事なのか、ルールなどない仕事なのかということですね。この点、少なくとも「法律」自体はルールのかたまりです。法律の基本的な考えを習得しなければ、そもそも司法試験に合格できません。「法律」の専門家という意味では、弁護士に「1万時間の法則」が適用されることは明らかです。
その一方、弁護士の仕事というのは法律の知識があるだけじゃダメなのです。依頼者のために、紛争を解決して、「勝つ」ことも大切です。そしてなにより、顧客のために十分なサービスを提供し、安心し、信頼して貰えることが大切でしょう。ルールが明確な「法律」だけを、1万時間かけて取得しても、それだけでは不十分だということです。アメリカの例ですが、弁護士になる前の成績と、弁護士となった後の活躍との相関関係を調べた調査で、両者には関連性が認められなかったそうです。法律的にはそれほど傑出してなくても、お客様に信頼されて、「弁護士」として成功することができるということですね。

「法律」のようなルール自体がはっきりしている分野では、1万時間の法則が適用されます。1万時間、2万時間と、ひたすら研鑽を積んでいくことは、とても重要ですし、素晴らしいことです。現実問題として、いつまでも勉強を続けている弁護士は沢山いますし、私も見習いたいものです。しかし、それだけでは一流の弁護士になるには不十分に思えます。
他の分野で活躍していたスティーブ・ジョブズが、携帯電話の分野で顧客の支持を集めたように、私も企業に勤めていた経験を活かして、お客様に信頼され、安心してもらえる弁護士になりたいものです。
 

弁護士より一言

小学4年生の息子が、学校の1泊旅行が楽しみで、まさに指折り数えて待っていました。そこで、何がそんなに楽しみなのか、聞いてみました。
1位ホテルのハンバーグ 2位ホテルのから揚げ(骨付き!)3位おやつで持って行くベビースターラーメン 4位牧場でのバター作り 5位ママのお弁当とのことでした。
「えぇ~! ママのお弁当5位なのぉ?」と、ベビースターに負けた妻は、ショックを受けていたのです。
実は、おやつには「うまい棒」も買ったけど、旅行の前に食べてしまったそうです。ダメすぎだろう!
 
(2015年7月16日発行 第153号)

 

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