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イケメン弁護士の代筆

フランスの男優が、一度は演じてみたい役は、シラノ・ド・ベルジュラックだと聞いたことがあります。
あの、「鼻」のシラノです。いまさら粗筋を書くのも気が引けますが、長々と書かせてもらいます。

舞台は
17世紀のフランスです。シラノは、ガスコン青年隊に属する武将です。武勇に優れるだけではなく、詩人としても偉大な才能を持っています。人の心を動かす文章を作れます。しかし、シラノは非常に醜い鼻をしていることから、自分の容姿にコンプレックスを抱いています。
そのため、ロクサアヌという従妹に、自分
の想いを伝えることができません。自分の同僚のイケメンもロクサアヌに恋していると知ったシラノは、彼の為に一肌脱ごうと決意します。このイケメンは、心を動かす恋文を作ったりするのは得意ではない。話しても、シラノのように機知のある面白い話はできないという設定になっています。なんか、イケメンに対する悪意を感じますね。そこで、シラノが恋文を代筆し、ロクサアヌとの会話も隠れてやってあげます。ロクサアヌは、イケメンなだけではなく、素晴らしい文章を書ける相手を好きになります。ただ、イケメンが自分の言葉で書いたり話したりすると、「いったい今日はどうしたのですか?」と、冷たくなるんですが。。。
シラノの活躍で二人は結婚しますが、その直後に、シラノもイケメンも戦場に送られてしまい、イケメンの方はそこで戦死してしまう。彼が死んだことに負い目を感じ、シラノは自分の恋は永遠に隠していこうと決意します。残されたロクサアヌは、最後に貰った恋文を宝物として、修道院に入ってしまいます。それから15年間、週に1回の面会日にシラノは必ず訪ねてきて、ロクサアヌに1週間の出来事を面白く話をしてあげます。そんな中、正義感が強いシラノは、作らなくてもいい敵を作り、闇討ちに会います。自分の死期を悟ったシラノは、最後に修道院を訪ねると、ロクサアヌに宝物の恋文を見せてくれと頼みます。そして、かつて自分が作り、自分が代読し、一字一句覚えている恋文をくちにします。この劇一番の見せ場ですね。辺りは既に真っ暗で、文字を読める状態ではない。それなのに、手紙を読むシラノを見て、その声を聴いて、ロクサアヌは全てを理解します。この、最後の場面のシラノが、またカッコ良いんです。「なぜ言ってくれなかったのですか?」と聞くロクサアヌに、「男にはもっと大切なものがある!」なんてことを言います。「それは、私の羽飾り(心意気!)」 私も死ぬ前に一度は言ってみたいセリフです。 と、長々と書いてきましたが、考えてみますと弁護士も、依頼者のために文章を書いて、法廷で代わりに発言する仕事です。シラノと共通点があるじゃないですか。(ほんまかいな!)
 
裁判では、当事者や証人の経験したことを、「陳述書」という形で、予め文書にして提出します。依頼者の話しを聞いて、言わない方が良いことは伏せておいて、余分なことは省き、説得力が出るようにして、弁護士が陳述書を代筆するのが普通です。陳述書を出した後に法廷で証人尋問が行われます。ところが、証人の中には、聞かれてもいないのに自分に不利なことをわざわざ話す人もいるのです。本当は、シラノみたいに、私が代わりに法廷で質問に答えてあげたいんですが、それは無理ですね。せめて、シラノが恋文を書いたように、依頼者の為に思いを込めて文書を代筆しようと決意したのでした。それが私の、「羽飾り」です!
 

弁護士より一言

先日、美容業の方から面白い話を聞きました。スタッフにイケメンを揃えると、女性客が明らかに増えるんだそうです。(ちなみに男性の場合は、美女を揃えても、長期的には来客数は変わらないそうです。)
これを聞いて、心底後悔したのです。。。うちの事務所でも、イケメン弁護士を入れるべきだった! うちは現在、弁護士5名でやっていますが、イケメンと言えるのは、私一人だけなんです!(おいおい。)
次回からはイケメンを採用しますので、女性のお客様のご贔屓のほど、よろしくお願い申し上げます!
 
(2016年3月1日発行 第168号)

 

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「企業の常識・弁護士の非常識」と題して、月2回発行している
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