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6人の怒れる裁判員(1)

「12人の怒れる男」は、60年ほど前の米国映画です。アメリカの陪審裁判を扱った映画で、12人の陪審員達が、1つの部屋の中で話し合うだけの内容です。しかし、今でも多くの人に見られています。アメリカでは、一般市民から選ばれた12人の陪審員が、裁判で大きな役割を果たします。陪審員が無罪と言ったら、その事件は無罪となるのです。
 

この映画では、悪名高い不良少年が、自分の父親を殺したということで、裁判になります。多くの証拠(殺人が起こる前に不良少年が、父親に向かって「殺してやる!」と叫んでいたという多数の証言等)から、少年の有罪は間違いないだろうという状況です。多くの陪審員は、こんなこと早く終わらせて、ナイターを見に行きたいなんて思っているんです。確かにその気持ちも、分かります。。。そんな中、名優ヘンリー・フォンダ演じる陪審員が、「人の一生を左右するのに、そんなに適当に考えてはダメだろう!」と、問題提起をします。安易に「空気」を読まずに、自分が正しいと思うことをしっかりと主張します。(わ、私も見習います!) 最初は皆うんざりしていますが、ヘンリー・フォンダの熱意に動かされて、少しずつ、事件を本気に考えようという雰囲気になっていきます。真剣に考えてみると、不良少年が父親を殺したという決定的な証拠は、隣のアパートから事件を目撃したという、お婆さんの証言しかないことに気が付きます。そのお婆さんの証言自体、よく考えてみれば、かなり曖昧なものだったのです。そんなわけで、陪審員は少年を無罪にします。一人の陪審員の熱意で、無実の少年を救った、アメリカの陪審制の宣伝みたいな、すごい映画なんです!


子供のころにこの映画を見て、私も本当に感動しました。その一方、何かおかしな気がしたのも事実です。この映画では「不良少年」の映像が出るんですが、それが子供っぽい、弱弱しい感じの子で、とても不良少年に見えないんです。映画を見た後知りました。アメリカの裁判で無実を主張する被告人の場合、大人びた顔の人に比べて、童顔の人の場合、2倍以上高い確率で無罪となるそうです。そんなこと聞いちゃうと、ヘンリー・フォンダの映画の場合も、被告人の外見が凶悪だったら、みんなそれほど肩入れしなかったかもしれないな、なんて考えてしまいました。。。


ということで、数年前に導入された、日本の裁判員制度の話です。一般市民から選ばれますけれど、アメリカの陪審員と違って、6名です。米国では陪審員だけで評議しますが、日本の裁判員は、3名の裁判官と一緒になって、事件の有罪無罪、有罪の場合にはどの程度の刑罰が妥当かなどを、決めていきます。裁判員制度が導入されたとき、私は軽い気持ちでいました。本当は、「別に何も変わらないだろう。」と思っていただけに、本当にびっくりしました。例えば、性犯罪です。強姦だとか、強制わいせつをして、女性にケガをさせたような事件ですね。刑事事件を沢山やってきている私の実感では、刑罰が1.5倍は重くなったと感じています。以前は執行猶予がついて、刑務所に行かないで済んだ事件でも、裁判員たちは刑務所に入れちゃうんですね。これって、マスコミなどでも報道されてませんけど、本当の話です。一方、性犯罪の裁判で、裁判員に感動したこともあります。裁判の中で被告人に、今後性犯罪を起こさないためにどうするかなんて質問します。「運動します」とか、「人の気持ちが分かる人間になります」なんて被告人も答えるわけです。ところが、ある裁判員が質問したんです。「風俗に行こうとは思わないんですか?」えー、そこを聞きますか?プロの法曹は、思っていても、遠慮して中々聞けません。「裁判員恐るべし!」次回に続きます。


弁護士より一言

くだらないニュースレターですが、月2回書くのに、無い知恵絞って、本当に苦しんでいます。そんな私を見て、中学3年生の娘が言いました。「何が大変なの?パパのニュースレターなんて、書くの簡単でしょう。」「何でもいいから適当に書いて、その中に『ううう。。。』『あ、あほか!』と入れさえすれば、パパのニュースレターになるじゃん!」あ、あほか!

実の娘に、こんなこと言われるなんて。ううう。。。  (2016年7月1日発行 第176号)

 

 

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「企業の常識・弁護士の非常識」と題して、月2回発行している
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